取り付け(パームライン)
はじめに
パームラインは、床に貼るだけの誘導板です。後付けなので、実際の現場の動線に合わせられます。点字ブロックに点状と線状があるのに対して、パームラインは線状だけで「歩ける」だけを知らせます。基本は、道路のセンターラインのような、「途切れるまで行ける」単純な原理なので、直感的に使えて、分岐は空白で分かります。
選び方
パームラインは、2形状あって、1山タイプ(PL1図面)は掃除しやすくて特にトイレに向き(他にも使えます)、3山タイプ(PL3図面)は白杖をスライドしやすく広いフロアや、滑り止めを兼ねた階段や高齢者施設の誘導に向きます。
裏面にある粘着テープは、きれいに剥がせる再剥離の仕様で、型式の添字Aは薄手(0.15ミリ、裏紙は白地に赤文字)、添字Dは厚手(0.32ミリ、裏紙は白紙)。受注で、(粘着テープのない)PL5やPL3などの元板もあって、粘着テープや接着剤など自由です。
どちらも、30センチ毎に貼っていけば、3ミリほどの隙間ができる長さ(A4コピー用紙の長辺と同じ297ミリ)です。
対象の床材
●トイレの床などは、ドライ(乾式)方式のビニール床などが最適で、(粘着テープをつけた、添字AかBの)標準品が使えます。水を流して洗うウェット(湿式)方式の床には、特注の元板を、耐水の粘着テープか接着剤で、水はけの方向を考慮して、設置してください。
●メンテナンスは、ドライ方式の床は、普段はモップで水拭きしてから乾燥させ、定期的に、ビニール床用などの洗剤を使い、回転ブラシなどで洗い、乾燥させ、樹脂ワックスをかけてください。
●カーペットは、毛足が短いループカーペットなら、しっかり固定できます。毛足が長いカーペットには向きません。
配置の仕方
不特定多数が対象なら、ルールを決めます。例えば、「配置は、目的地の30センチ手前まで、30センチ毎に貼っていき、分岐は30センチ四方の空白」とします。歩く時は、「踏んだら端まで行けて、端から30センチ以内に、次の端があれば分岐、あるいは、目的地の30センチ手前に到着」です。
一人が使う、個人宅や高齢者施設や職場なら、好きなように配置できます。
実例1 公共トイレの誘導の施工例
公共トイレはルールを決めて、例えば、「トイレの案内は、入口から最も近い、各1ヶ所、できれば、手すり付き、洋式を、順に案内」とします。帰りは逆にたどります。
設計図が無くても、現場の動線に合わて、配置していけます。掃除しやすい1山タイプのPL1AやPL1Dが適します。配置は、さまざまな画像の例(pdf)を参考にしてください。案内文は、入り口のアナウンスなどに役立ちます。
必要枚数などの見積をするなら、設計図を作ります。ここでは、簡易的に、Macパソコンの標準付属ソフトpagesを使った例を紹介します。建物の図面を写真に撮って、ソフトに取り込み、等倍率にした図形部品を重ねていきます。pagesソフトの設計書式(テンプレート)も添付します。
設計と見積jpg、設計書式pages
作業は、順序が大事です。まず、掃除して、仮置きし、配置と貼る順序を確認して、貼り始めたら、貼る毎に、配置を微調整しながら、最後に、つじつまが合うように、合わせます。
作業順pdf
実例2 高齢者施設の誘導の施工例
●混乱を防ぐため、ベッドからトイレまでの最小限として、分岐などの選択をなくします。
●手摺りにつかまって歩くのを基本として、手すりに手が届くのを補助するように、貼ります。
●歩幅が狭いためと、方向感覚を決めるため、ベッド及びトイレで、足を下ろす範囲まで貼ります。
●滑り止めを兼ねた3山タイプのPL3AやPL3Dなどが適します。
●最初に大まかに仮貼りしておいて、実際に歩いて、修正してから、本貼りします。退去時にも、きれいに撤去できます。
コツなど
●平坦でない床は、厚みある粘着テープ(PL1DやPL3D)を使います。凸凹が大きければ(タイル貼りなど)、エポキシパテなどで埋めてから貼ります。
●消毒用アルコールをかけて掃除すれば、ゴミ取りや脱脂とともに、脱水と消毒もできる。
●真っ直ぐがズレると目立つので、レーザーなどで墨出し(養生テープや板も定規がわりになる)。
●裏紙をはがしたら、慎重に置く(強い粘着で、急に貼り付くため)。
●歪んだ床は、短く切った板をつなぐ(空白は30センチより短く)。ノコギリなどで簡単に切れます。
●もし剥がすには、板の下に、ヘラなど(先が平たい板)を挿し入れて、端から、徐々に引き上げてください。剥がしにくいなら、(ホームセンターなどにある)パーツクリーナーを、噴射ノズルで、隙間に吹き入れて、粘着を軟らかくしながら、2本のヘラなどを交互に挿し入れて進んでください。 スプレー缶の注意書きに従ってください。
有限会社テイクス
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